快読日記!

こんな本を読みました。

「無法松の影」大月隆寛

6月30日読了 小倉生まれで玄界育ちな「無法松の一生」。その作品論(原作と映画(主に坂妻版))と、明治から昭和にかけて”無法松的なもの”はどう消え、どう残っているか、という本。 読み通すには、この独特の「大月隆寛節」につき合える忍耐が必要だけど、…

松本清張記念館

先日、念願かなって福岡・小倉の「松本清張記念館」に行ってきました。 自宅の書斎・応接間・書庫の展示はイメージどおり、と思ってしまうのは、みうらじゅんの本などで何度も見すぎたせいで、いいことなのかどうか微妙です。 それより感激したのは直筆の原…

「時間の習俗」松本清張

6月24日読了 「点と線」の刑事コンビが再登場する長編。 前作と同じアリバイ崩しものですが、率直に言うとあまりおもしろくありませんでした。 全体の構成を「点と線」とそろえているのは、あえて、というか、意識的になされたのだろうと思いますが、全体的…

「点と線」松本清張 <ネタバレ>

小説の内容に触れています 6月9日読了 人が何かを必死で証明しようとするとき、真実はその逆のところにある。 彼がAという場所にいなかったという証拠がなぜこんなにそろっているのか、 つまりそれこそが彼がAにいたことの証明になるのではないか、というカ…

「聞かなかった場所」松本清張

5月29日読了 主人公・浅井の、決して人生を踏み外すことがないかんじの地味で慎重な実務家というキャラクター(”誠実な人柄”ではない)をこつこつ描いた前半すべてが結末への伏線になっているというすごさ!! この作品の魅力を一言で言うなら「反転のおもし…

「霧の旗」松本清張

5月25日読了 松本清張が描く”ものすごく執念深い人間”がもし身近にいたら、意外と尊敬して好きになってしまいそう。そして、そう思ってしまうところがまた怖いです。 何しろ意志が強い。鋼鉄の精神を持っていて、生涯「まあいいか」って言ったことがなさそう…

「評伝 クリスチャン・ラッセン 日本に愛された画家」原田裕規

5月19日読了 「評伝 クリスチャン・ラッセン 日本に愛された画家」原田裕規 これは名著だと思います。 エピローグに「日本の自画像としてのラッセン」という言葉が出てきますが、それをあますところなく考察し、書きつくされていると感じました。 Ⅰは日本だ…

「アフリカから来たランナーたち 箱根駅伝のケニア人留学生」泉 秀一

5月12日読了 「アフリカから来たランナーたち 箱根駅伝のケニア人留学生」泉 秀一 ビールを飲みながら箱根駅伝を見るというのが正月の楽しみなんですが(ベタだ…)、 30年以上前から現在まで、留学生はチームの「最強カード」で、彼らをどこで使うかがひとつ…

「ノーメイク鑑定士」石田夏穂

5月11日読了 「ノーメイク鑑定士」石田夏穂 短編集。冒頭の「フットブレイク」がちょっと散漫でいまひとつだったけど、 3つめの「われらがDNA」は、しんどい仕事から強制的に引きはがされたとき、逆に働くことへの身体的な執着が湧いてくる、というのか、…

「芸人廃業」藤井ペイジ

5月7日読了 「芸人廃業」藤井ペイジ 藤井ペイジちゃんねる独自企画「辞めた芸人に話を聴こう」の書籍化。 登場する元芸人は18人と多いけど、もの足りなさは感じませんでした。 いわゆる「じゃない方」の人が多く(桜塚やっくん、みなみかわ、とにかく明るい…

「顔に降りかかる雨」桐野夏生

4月27日読了 「顔に降りかかる雨」桐野夏生 「ダーク」「ダークネス」と読んでしまってからの「顔に降りかかる雨」、 完全に順番がおかしいですが、読んでしまったものは仕方ない。 まず、32歳の村野ミロが若い。 映像で見ているわけではないのにその若さが…

泣かされた本 3冊

お題「泣ける本を紹介してください。」 お題は感動や悲しみに突き動かされての涙、を思い浮かべる方が多いと思うので、 ちょっと違うテイストで「恐怖で泣いた」本を挙げてみました。 1)「収容所に生まれた僕は愛を知らない」 申 東ヒョク(ヒョクは赤偏に…

この曲、心がささくれてる時に聴くと良いよ!

お題「この曲、心がささくれてる時に聴くと良いよ!」 「アイスクリームのうた」です。 ♪おとぎ話の王子でも昔はとても食べられない、という。 年をとって甘いものがどんどん苦手になってきていますが この歌を聞いて一緒に歌うと、 脳内に甘いアイスクリー…

「つきまとわれて」今邑彩

4月21日読了 「つきまとわれて」今邑彩 1996年刊 (今回読んだ文庫は2006年刊)の連作短編集。 いたるところに仕掛けが施されている凝った作品集で、 上質の娯楽作品だと思いました。 ただ形だけが作りこまれている、という作品を最近見聞きします。 そし…

「青の純度」篠田節子

4月19日読了 「青の純度」篠田節子 ラッセンを想起させる「マリンアート」の画家(作中での名前はヴァレーズ)をめぐる話。 主人公はバブル期の経験があるWEB雑誌の編集者(50代女性)で、 ヴァレーズに代表される「ああいう絵」を冷笑的に見ているのに、 過…

好きな本10冊

お題「好きな本を十冊紹介してください」 「感動した」とか「衝撃を受けた」とかではなく「好き」ってところがいい!と思って考え始めたら、意外と難しいお題ですね。 ただ好き、だと収拾がつかなくなりそうなので、何度も何度も繰り返し読んでいる、という…

本を求めて

お題「本の探し方どうしてる?小説でも新書でもしばらくハマった作者に飽きたり、作品をすべて読んでしまったりした時。次の本をどうやって探してますか?」 読みたい本がたくさん控えていてワクワクしているときもあれば、本屋でも図書館でもピンと来るもの…

「緑十字のエース」石田夏穂

4月6日読了 「緑十字のエース」石田夏穂 ある事情で「三岸地所」を退職したエリートの浜地(50歳ちょっと前の男性)が次に働き始めた中堅ゼネコンのショッピングモール建設現場の話。 安全衛生管理責任者(通称アンゼン)の上司・松本の安全指導は鬼のよう…

それは「エロイカより愛をこめて」

お題「大人になってから好きになった漫画orアニメ」 子供のころ、青池保子作品の絵(特に人物)が苦手でした。ちょっと怖かった。 昭和50年代に女子小学生だったので、主流は「ゴージャスでキラキラした少女漫画の絵」でした。青池先生の人物の体重まで感じ…

「絶望はしてません」斎藤美奈子

4月4日読了 「絶望はしてません」斎藤美奈子 ひとつのテーマにつき3冊の本を選び、その書評とテーマの考察。 ジャニーズ事務所・松本人志・中居正広の性加害問題、コロナ禍、安倍晋三氏狙撃事件と統一教会の問題などなど、ちょっとびっくりするくらいいろ…

「ふつうの人が小説家として生活していくには」津村記久子

4月3日読了 「ふつうの人が小説家として生活していくには」津村記久子 4日にわたるインタビュー。 前半は、好きな音楽の話が多く(聞き手と津村の年齢が近い)、世代が違ったりするとなかなか乗っかるのが難しかったです。 中盤から、デビュー前~太宰賞~…

2025年の快読!

今年2025年に読んだ本の中で印象に残ったものをまとめました。

2024年の快読!

2024年の快読 ~2023年12月31日から2024年12月28日に読んだ本の中からベスト本を考えてみました。 フィクション1「小説 帝銀事件」松本清張町に防犯カメラがない昭和23年。人間の記憶・印象のなんとあいまいなこと。古志田警部補の“根性”が冤罪を生む過程は…

2023年の快読!

2023年(2022年12月26日~2023年12月30日)の快読フィクション1「真珠とダイヤモンド 上下」桐野夏生/毎日新聞出版20代にバブル期を生きた3人の話。望月・佳那のふたりはともかく、水矢子に対して作者が与えた運命があまりにも残酷。バブルで自分を見失っ…

2022年の快読!

2022年(1月1日~12月25日)の快読!フィクション1「ポケットにライ麦を」アガサ・クリスティ/ハヤカワ文庫今まで読んだクリスティ作品の中で1番!犯人を当てようとして読むとき、我々は無意識に「作者が嫌いなタイプの人間はだれか」を考える。この犯人は…

「分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議」河合香織

8月31日(火) 「分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議」河合香織(岩波書店 2021年)を読了。 尾身さんをはじめとする専門家会議を、 所詮御用学者でしょくらいに思っている人にぜひお勧めしたいです。 結局、政府と専門家会議は、国民へのメッセージの「…

「女帝 小池百合子」石井妙子

8月20日(金) 「女帝 小池百合子」石井妙子(文藝春秋 2020年)を読了。 「利用するか攻撃して傷つけるか」の二択でしか人と関われない人の話。 嘘が多すぎて麻痺しちゃったのか もともと良心がないのか。 嘘つきだから人を信用できないという不幸。 華やかなひ…

「「許せない」がやめられない SNSで蔓延する「#怒りの快楽」依存症」坂爪真吾

8月14日(土) 「「許せない」がやめられない SNSで蔓延する「#怒りの快楽」依存症」坂爪真吾(徳間書店 2020年)を読了。 もうフェミニストvsマチズモみたいな単純な話じゃないんですね。 昭和は遠くなりにけり。 「ツイフェミ(ツイッターフェミニズム)」が、フ…

「癒しのチャペル」辛酸なめ子

8月10日(火) 癒しを求めたさまざまな体験記「癒しのチャペル」辛酸なめ子(白夜書房 2003年)を読了。 ここ数年来のにわかなめ子ファンのわたしですが、 18年も前の辛酸なめ子は期待以上にエグかったです。 ボランティア体験では「プロの障害者」の強靭な精神…

「電車のおじさん」辛酸なめ子

8月8日(日) 「電車のおじさん」辛酸なめ子(小学館 2021年)を読了。 リアルな恋愛の煩わしさやリスクを避けつつ、 でも女性ホルモンの分泌は促したい、という欲望をかなえるとなれば、 もう、この主人公・玉恵(20代OL・ 男性を“好きかキモいか”で分けている )…